「娼婦の値段」
〜 トルコ トラブゾン 〜

トラブゾンは宿の多い街だ。僕はトラブゾンの街を歩いていて、英語で「ホテル」、あるいはトルコ語で「オテル」と書かれた宿の看板を実に多く見かけたものである。これまでのトルコの街でも「シェヒル・メルケジ」(トルコ語で『街の中心』という意味)周辺では宿を多く見かけた事はあったけれども、このトラブゾンではシェヒル・メルケジを離れても本当に多くの宿が集中して建ち並んでいる光景を目にすることができる。黒海に面したトラブゾンは確かに観光地としての一面も持っている街ではあるが、そうは言ってもその観光規模は同じトルコのイスタンブールやカッパドキアといった世界的に有名な観光都市には遠く及ばないレベルだから、訪れる観光客に対するトラブゾンのホテルやオテルの数は、僕には「供給過剰」としか思えなかった。

でもトラブゾンに滞在し始めて数日経ったある日、運良く僕は何故トラブゾンにこんなに宿が多いのかという、自分の疑問の答えを知ることができた。そしてそれはトラブゾンに降り続ける長雨のおかげであった。



雨は僕がトラブゾンに着いた日からずっと降り続けていた。あるいは僕がこの街に到着する以前から降り続けていたのかもしれないが、いずれにしてもその雨は「トラブゾンには長くても2泊」と、考えていた僕の当初の計画を狂わすことになった。何故ならこの雨のせいで僕は外出もままならず、宿の部屋でただ時間を潰すことしかできなかったからである。

トラブゾンにはビザンティン時代のキリスト教会や修道院があって、一応イスラムを国教としているトルコにおいては珍しい建築物だったから、それはトラブゾン観光の目玉になっていて、トラブゾンに来た観光客の多くが訪れる。そして僕もそういった観光スポットを見に行くために、部屋で雨が降り止むのを心待ちにしていたのかというと、実はそういうわけではなかった。ハッキリ言ってしまうと、そういったものには全然興味が湧かなかったし、訪れるつもりも無かった。

それならば、(健全な考え方をする旅行者ならば)雨のせいで部屋に閉じ込められているよりは、さっさと他の街へ移動してはどうか?という選択肢も浮上してくるところだが、僕に限って言えば、できればその選択肢を使いたくなかった。どうしてかというと、まだ街歩きをしていないからである。

僕は確かに観光スポットを廻るというような事をあまりしない。けれどもその反面、ただ街を歩くという何の変哲も無い行為がかなり好きである。街歩きにはカネがかからないからというのが理由のひとつではあったけれども、それを差し引いたとしても僕はもともと「散歩」というのが好きなのである。だから僕はこれまでの街でも観光しない代わりに、その時間を街歩きに費やしてきた。つまり雨のせいで部屋に閉じ込められている時間が続いても、トラブゾンの街を納得ゆくまで歩いた後でないと、僕は他の街へと移動したくなかったのである。

それでは雨が降り続く間、僕が何をして時間を潰していたのかというと、それはおおまかに言って二つの行為に尽きていて、うちひとつは「テレビ観ること」であった。僕が宿泊していた部屋は1泊7,000,000リラ(約500円)で、東部トルコに比べるとかなり高いが、ここトラブゾンでは最下級の値段だ。しかしながらそのような値段にもかかわらず、部屋には何故かカラーテレビが備え付けられていた。個人的にはテレビなんかよりトイレとかシャワーを部屋に付けておいてほしかったのだが、さすがに1泊500円の部屋でそこまでするのは無理なのだろう。

僕はそれほどテレビ好きな人間ではないのだが、退屈しのぎのつもりで部屋にいるときはいつもテレビをつけっぱなしにしていた。もちろんトルコ語の放送なんてさっぱり理解できないから、特に面白いわけではないのだが、それでもこの旅ではテレビがある部屋に宿泊したことは数えるほどしかなかったので、ちょっと大袈裟な言い方をすれば貴重な経験には違いなかった。

そしてそんなふにしてテレビを観ていて気が付いた事といえば、「外国の番組が非常に多いな」ということである。とりわけ日本のアニメ番組が多く、「遊戯王」とか「ポケモン」といった、そんなに古くないアニメが放送されていたのには少々驚いた。番組はトルコ語に吹き替えられて放送されているので、固有名詞以外は何も理解できないのだけれど、それでもちょっと日本の事を思い出したりして、まあ退屈しのぎには一役買ってくれた。

もうひとつの退屈しのぎの行為は、「日本人と話をすること」だった。実は僕が滞在していた宿には、僕がここに来る前から日本人男性がひとり滞在していたのである。



僕と彼が知り合った場所は、宿の共同洗面所である。場所が場所だけに感動的な出会いとは言い難がったが、それでも僕たちはすぐに打ち解け、彼の部屋でハナシをすることになった。彼は旅行者ではあったが、バックパッカーではなかった。それは彼の部屋に入って彼の荷物を見ただけですぐにわかった。荷物の中に、スキー板とストックがあったからである。スキー道具を持って旅するバックパッカーはいない。そして僕がスキー板を見ていると

「もうトルコに来て1ヶ月くらいかな。今までずっと地中海で泳いでいたんだけど、これからエルズルムに行ってスキーやろうと思ってるんだ。」

 と、僕に言った。滞在先での行動からしてバックパッカーとは全然違う。詳しくハナシを聞くと彼は20代後半の青年で、もう何度も長期の旅行を経験しているのだそうだ。つまりは長期旅行者なのだが、ただ彼が僕達バックパッカーとは違うところは、彼の場合は長期といってもその期間はいつも数ヶ月程度であること、旅行といってもあちこち廻るわけではなく気に入った街に腰をすえて滞在する事を最初から目的にしていること、そして最後に(これが僕達とは最も違う点なのだが)「旅行先がいつもトルコだけである」というところだ。

ようするに彼はトルコという国がとことん気に入ってしまったのである。それで何度もトルコにやってきているわけなのだが、そのおかげで今ではこっちにガールフレンドもできたのだと言う。だから彼はトルコに関しては本当にいろんな事を良く知っていた。彼の旅行のスタンスから、観光地に関する知識はそれほどでもなかったが、トルコの街やそこでの生活の仕方などについては、彼ほど詳しい旅行者に僕は会ったことがない。だから僕は彼からいろんな情報を仕入れることができ、本当に有意義だった。

そして僕のトラブゾンに関する疑問の回答をくれたのも、もちろん彼だったのである。



「あの辺りにある沢山のホテルはね、言ってみればみんな『御休憩』用なんだよ。」

 それが、「どうしてシェヒル・メルケジ以外にも沢山の宿が存在するのか」という僕の質問に対する彼の回答だった。僕はトラブゾンでの最初の日、訪れた街で真っ先にやること、つまりは宿探しをしていたのだが、そのとき僕は街を歩いていてシェヒル・メルケジ以外にホテルが立ち並ぶ場所を見つけた。そのあたりは海岸に面した通りで、ホテルからの眺めは良さそうだったのだが、どう考えてもシェヒル・メルケジの安宿と比べて利便性が良くなかったので、あえてホテルに入って受付へ行き、部屋代を交渉することまではしなかったのである。

「御休憩?」
 僕は彼の言っている事が理解できなかった。

「そう。日本で言うところの『ラブホテル』ってやつだよ。」

「ラブホテル?だってここはトルコでしょ?トルコにラブホテルがあるって言うのかい?」
 
 僕は驚いて訊き返した。トルコの国教は一応、昔も今もイスラム教ということになっている。現在はヨーロッパを見習って政教分離してはいるけれど、だからといってトルコの若い男女がラブホテルで「そういうこと」をするような反コーラン的な恋愛を楽しんでいるとは、僕には到底思えなかった。もちろん夫婦だったら、そういう行為も問題無いだろうが、でも夫婦だったらそういうことは家ですればいい。

「あるんだよ。ただし『トルコにある』っていうよりは『トラブゾンにある』って言うほうが正確かな。」

「それ、どういう意味?」
 僕は改めて訊き返した。

「黒海沿岸の都市のなかでもトラブゾンはロシアとフェリーで結ばれているんだ。それだけじゃなくてトラブゾンからはグルジアとかアゼルバイジャン・・・つまりカフカス諸国との間を往復する直行バスなんてのもある。だからトラブゾンには旧ソ連から出稼ぎでやってきた人達が多いんだ。」

「ふうん。でもその出稼ぎのハナシとラブホテルがいったいどこで繋がるんだい?」

「出稼ぎでトラブゾンにやってくる旧ソ連人のなかには、若い女性が案外多いんだ。」

「それで?」

「まだわからないかい?彼女達のしている出稼ぎっていうのは、『売春』なんだよ。もちろんマトモな仕事をしている女性だって沢山いるよ。でも『売春』がメインでトラブゾンに滞在している女性も決して少なくないんだ。」

「じゃあ『御休憩』とか『ラブホテル』っていうのは・・・・」

「そう。あの辺りのホテルは彼女達の仕事場なのさ。」

 僕に対して、やっとわかってくれたか、という表情で彼はハナシを締めくくった。



彼の部屋でそんなハナシをしてから更に数日が経過したが、天候はなかなか回復しない。少なくとも僕が時間を気にせずに街を散策できるほど長い間雨が降り止んでくれたことはほとんど無い。でもほんの少しの間、だいたい30分から1時間くらい雨が降り止んでくれることは日に何度かあったので、僕はそのときを逃さず近所のスーパーマーケットに食料品の買出しに行くようにしていた。そしてそんなことを繰り返していて、僕はひとつの事に気が付いた。

僕が買物でホテルを出るとき、あるいはまたホテルに戻ってきたとき、ロビーのソファーに数人の女性達が座って談笑しているのをよく見かけるのである。彼女達の外見について言うと、年齢はわりに若そうに見える。服装についてはかなり派手。あと、時々タバコを吸っているのを見かけたことがある。最初のうち、僕はロビーで彼女達を見かける度に、「いったいいつも何してるんだろう?」と、思っていたのだが、それが彼からラブホテルのハナシを聞いた今は、「ひょっとしたら彼女達は売春婦ではないのか?」と、思うようになっていた。あと、どうでもいいことだけど、「もし売春婦だったら、どうして僕に声をかけてこないのだろう?」なんてことも考えていた。

はたして彼女達は売春婦なのだろうか?一番手っ取り早いのは、こちらから彼女達に声をかけてみることだが、でも何と言って声をかければいいのだろうか?まさか「ねえ、君たち売春婦なの?」なんて聞けるはずがない。結局僕は他人を頼ることにした。そしてそんな僕の質問に答えてくれそうなのは、やっぱりトルコに詳しい彼しかいなかった。

「ねえ、この前のハナシの続きだけどさ、」
 僕は彼の部屋を訪ね、そう言って切り出した。

「この前のハナシって、いったい何のハナシ?」

「ほら、『売春婦』のハナシだよ。」
 僕はちょっと恥ずかしかったが、そう答えた。

「ああ、あのハナシか。買春に興味があるのかい?」

「いや実はね、このホテルのロビーでよく見かける女の人達がいるんだよ。その女性達、どうみてもトルコ人女性に見えなくて、かといって普通の外国人旅行者にしては滞在期間がやけに長いと思うんだ。だからさ、ひょっとしたら前に話してくれた旧ソ連の・・・」

 彼の鋭い指摘を聞き流して僕は説明した。

「ああ、彼女達なら俺も時々見かけるよ。随分前からココに滞在しているみたいなんだ。君が言うとおり多分、間違いないだろうね。」

「やっぱりそうか・・・」
 僕は思わず頷いた。

「何?俺のハナシ信じてなかったの?」

「いや、そういうわけじゃないけどさ、ほら・・・なんていうのかな、つまりトルコは政教分離してるといっても国民のほとんどはイスラム教徒なわけだろう?コーランの教えでは結婚前に『そういうこと』しちゃイケナイってことになってるわけだ。だから旧ソ連の女性が売春しにトラブゾンに来るのが事実だとしても、案外仕事は成り立たなくてすぐに帰国しちゃうんじゃないのかなって、ちょっと疑問に思っててね。」

 僕は自分の疑問を彼に説明した。それに対する彼の回答はこうだった。

「確かに統計上はトルコ国民のほとんどがイスラム教徒ってことになってるよ。でも現実には『自分はイスラム教徒である』って言っているけど、実際にはコーランの戒律なんて守っていない人達が多いんだ。あと『豚は食べないけど、酒は飲む。』みたいに、中途半端に守っている人だっている。売春に対してだって同じださ。トルコの男達はトルコの女性が売春することは決して許さないけど、まあ外国の女性がする分にはそれほど気にしないんだよ。じゃなきゃ今頃とっくにトルコの警察がオンナ達を取り締まってるはずさ。結局はムスリムの男達も僕等と同じだってことだよ。要はセックスしたいんだ。ただコーランで禁じられているから、おおっぴらにできないだけでね。」

「ふうん、そういうものかなあ・・・。」
 僕は彼の説明に半信半疑で相槌を打った

「それにトラブゾンで売春が成り立つのには、他にも理由があるんだ。」

「どんな理由?」
 僕は訊き返した。

「実はトラブゾンでオンナが買えるっていうのは、トルコに来る外国人のビジネスマンや旅行者の間では有名なハナシでね、つまりオンナを買っている客っていうのはトルコの男だけじゃなくて外国人も結構多いんだ。客のなかには日本人もいるっていうウワサを聞いたこともあるよ。」

 なるほど。いくらトルコの男達が所詮は僕達といっしょだといっても、ムスリムの男達だけを相手にしていてはそれほど多くの集客は見込めないだろう。でもその分を外国人が埋めているとすれば納得できる。確かに売買春というビジネスは成立するかもしれない。しかしそれでも僕には腑に落ちない点がひとつある。そしてそのことを彼に尋ねてみた。

「でも、どうしてトラブゾンなんだろう?わざわざこんなとこまで来なくても、そんなの日本でもできることじゃないか。」

「そりゃあ、ただオンナを買うだけだったら日本でもできるさ。でもね、トラブゾンなら金髪の白人が簡単に見つかるんだよ。それも日本じゃ考えられない安い値段でね。」
 
 彼は『金髪の白人』というところを強調して言った。彼の言い方から察するに、金髪女性というのは日本の男性からすると憧れの存在なのかもしれない。それはともかく、僕の場合はどちらかというと「金髪女性」よりも「安い」という言葉のほうが気になってしまった。この言葉に惹かれてしまうのはバックパッカーの悲しい性質なのかもしれないが、とにかく気になったので更に彼に追求してみた。

「そんなに安いの?」

「安いね。ロシア女性なら50ドル、カフカスの女性達なら20〜30ドルってところかな。」

「えっ?それってどういうこと?なんでそんなに値段が違うの?」

「ブランドの差だよ。」

「ブランド?」

「カフカスの女性達よりもロシア人女性のほうがずっと人気があるってことだよ。」

「・・・よくわからないな。どうしてロシアの女性とカフカスの女性でそんなに差が出てくるんだろう?僕にはどっちも『金髪の白人女性』に見えるし、ましてや外見から国籍なんて全然わからないけど。」
 僕は自分の意見を述べた。

「そんなの俺にだって判別できないよ。でもね、これは女性の外見とか質がどうこうって事じゃないんだ。うーん・・・そうだなあ、例えば同じ品質のバッグが2つあるとする。ひとつは『ルイ・ヴィトン』製で、もうひとつは『無名のメーカー』製だ。この2つの商品が店頭に並んだとき、値札に書かれているプライスが同じだと、君は思うかい?」

「思わない。」

「つまり、そういうことだよ。ロシアの女性は『ルイ・ヴィトン』で、カフカスの女性達は・・・」

「・・・『無名のメーカー』っていうことか。同じ性能でもソニーとかパナソニックより、アイワとかビクターのほうが安いっていうのと同じことか・・・。」

「・・・まあ、そういうことだね。それが正しい例え方かどうかはわからないけど。」

 彼のハナシを聞き終えた僕は、納得できたような納得できなかったような、自分でもよくわからない気分だった。でも、彼にこれ以上の説明を求めるのもまた無理そうだったので、もうこのハナシを終わらせようとしたとき、ひとつ聞き忘れていたことを思い出した。

「あのさ、ロビーの女性達、僕がずっとこのホテルに滞在してることを知っているはずだと思うんだけど、全然声をかけられないんだ。どうしてかな?」

「俺だって声をかけられたことは無いよ。でもそうだなあ、その不精ヒゲと長髪をバッサリ切って服も新しいものに買い換えたら、ひょっとしたら声をかけてくるかもしれないぜ。まあ、オンナを買うつもりなら十分に気をつけなよ。間違ってもカフカスの女達に50ドルも払う事がないようにね。」

 彼は笑いながら僕に忠告した。

「・・・うん気をつけるよ。」

 僕がそう答えて売春のハナシは終わり、僕は自分の部屋に戻った。



部屋に戻った僕はそれから退屈しのぎの続きをするために、テレビのスイッチを入れた。あんまり期待していないけれど、それでも少しでも面白そうな番組はないかとチャンネルをガチャガチャ回しながらも、頭の中では何故かまだ売春のことを考えていた。

彼は僕に「気をつけなよ。」なんてアドバイスしてくれたが、僕は1泊500円の宿でも「かなり高い」とか思っているバックパッカーであり、そんな人間が20ドルとか50ドルなんて、とても払える金額ではない。だから僕がトラブゾンで女性を買うなんて事は100%ありえない。

でも例えばその値段が5ドルとか10ドルとだったら、僕はどうしただろう?仮に5ドルという値段だったら、それは1泊野宿すれば浮かすことの出来る金額だから、払えない金額ではない。それに正直言って僕は今、女の子にかなり飢えている。それは必ずしも女性のカラダに飢えているというわけではなく、ただ単純に女性の存在に飢えていた。

なにしろ僕はインドを出て以来、女性と会話するとか仲良くなるとか、そういう機会がほとんど無かった。確かに通ってきた国が国だけに女性との出会いが無かったのは仕方の無いことなのかもしれない。でも女性の姿すらほとんど見かけないとか、たまに見かけても顔や髪を隠しているというのは、やっぱり日本人の僕からすれば異様な光景だった。

だから僕はトルコに入国して、若い女性がみんな髪をあらわにしている姿を見たとき、白状するけれども、実は興奮してしまったのである。女の子の髪を見ただけで興奮してしまうなんて、もう中学生以下だ。つまり、そのくらい女の子に飢えていたのである。ちなみに一番飢えているのは、もちろん日本の女の子に対してなのだが、こちらに関してはトルコに入っても未だにお目にかかれていない。

そんなことを考えながらチャンネルを回していたら、いつしかテレビにはどこかで見たことのある女の子が映っていた。それは「セーラームーン」という名の女の子だった。僕の記憶に間違いがなければ、確か「美少女戦士セーラームーン」とかいう日本のアニメ番組の主人公のはずだ。

僕は日本でも熱心にテレビを観る人間ではなかったので、アニメにもそんなに詳しくはないのだが、さすがにこのアニメは超有名な番組だったから、そんな僕でも知っていた。それにしてもこんなところで日本の女の子(アニメだけど)に出会えるなんて、ひょっとしたら僕は案外ラッキーなのかもしれない。それも「美少女戦士」に出会えたのだから。なにしろ今まで国境とかで兵士を見かけたことは多々あったけれど、美少女戦士を見たことはさすがに一度もない。

テレビの中のセーラームーンは悪党を相手に大活躍していた。さすがは美少女戦士である。ハイライトシーンでは、有名な

「月に代わっておしおきよ!」

 というセリフを喋っていた。さすがは主人公である。でもそのセリフは日本語じゃなかったので、僕には「月に代わって・・・」というよりも何故か

「買春の事を考える男なんておしおきよ!」

 と、僕を叱っているようにも聴こえたので、もう買春の事なんてサッパリ忘れることした。なぜなら僕にとって女の子と会話したり仲良くなったりするのは嬉しいことだけど、それとは逆に女の子から嫌われたり、「おしおき」されるなんて、まっぴら御免だからである。たとえその女の子がトルコ語しか喋らなかったり、なおかつテレビの画面から出てこれないとしてもである。真面目なハナシ・・・。


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