旅のスタート地点は、エジプトの港町アレキサンドリア。アフリカ縦断にチャレンジしようというバックパッカーの多くはエジプトの首都であるカイロから旅をスタートさせる人が多いのだけれど、僕の場合はそうしなかった。その理由は前回の旅に起因する。ユーラシア大陸横断の旅で僕は中国の上海の港から旅を始め、ポルトガルの岬でそれを終わらせた。そして今回も同じように大陸の端から旅を始め、大陸の端で旅を終わらせたかったのだ。だから僕はスタート地点を地中海に面したアレキサンドリアに定めたのである。


「次に海を見る場所は喜望峰だ」


アレキサンドリアで地中海を眺めながらそんなふうに決意して、僕の二度目の旅は始まった。
カイロの少年(エジプト)




そのように意気込んで始まった僕の旅。ところが僕は最初のうち、あまり調子良く旅をすることができなかった。何かトラブルに見舞われたとか、そういうわけじゃない。ただ単に気持ちが乗らなかったのだ。理由を具体的に言えば、僕が

「アフリカを旅をしているような気になれなかった」

 のである。何故アフリカを旅している気分になれなかったのかというと、それは僕がエジプトに来て、ある種のものの見方に固執してしまったからだろう。「エジプトはアフリカではなく、アラブ・中東の国だ。」そういう物事の一面にしか目を向けない視野の狭い考え方から抜け出せず

「せっかくアフリカを見たくて旅に出たのに・・・」

 という、筋違いな不満を抱えながら旅をしていたのである。でもまだ旅は始まったばかりだった。これからいくらでも取り返すことができるさ。そう思い直して僕はこの国を出ることにした。
アスワンのヌビア族(エジプト)


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